2008年05月30日

記者の目:ネットでの「祭り」を取材して=岩佐淳士(社会部)

記者の目:ネットでの「祭り」を取材して=岩佐淳士(社会部)

◇「匿名の悪意」看過できず−−伝える怖さ、自覚を

 ネット掲示板の文字を見た時、言いしれぬ不安に襲われた。「岩佐クンの歌を作ってみ
ました」「岩佐記者を退職に追い込もう」。連載企画「ネット君臨」の初回記事(1月1
日朝刊)で匿名による誹謗(ひぼう)中傷問題を取り上げて以降、私を非難する書き込み
がネット上にあふれた。中傷やうそを交えてからかわれ、一時は話題にするのもいやだった。
それでも、8カ月にわたって日本と海外のネット社会を取材して「匿名の悪意」を黙って
見過ごすわけにはいかないと感じている。

 難病の拘束型心筋症と診断された上田さくらちゃん。移植手術の費用を集める「救う会」
の募金活動はネット掲示板「2ちゃんねる(2ch)」で「死ぬ死ぬ詐欺」とやゆされた。
両親が当初、NHK職員だと公表しなかったことが「高給取りなのに隠した」と批判に拍
車をかけ、募金活動は妨害された。ネット上の集中的な書き込みは「祭り」と呼ばれる。
それに疑問を投げかけた私が今度は「祭り」の対象になった。

 取材先に渡した名刺を元に名前や電話番号がさらされた。私の写真が載ったホームペー
ジ(HP)を探し出し、書き込みからワンクリックでつながるようにされた。「電凸」(電
話による突撃)も受け、やり取りをブログに書かれた。非難の書き込みは大半が匿名だ。

 「これも記者の仕事のうちだ」とは思う。けれど、外に出ると誰かに見られている気がした。
もし家族が書き込みを見たらどう思うだろうか。私の名前で検索すればすぐに分かってし
まう。
自宅の登記簿や写真までネットに載せられたさくらちゃんの母親が涙ぐみながら
「裸で外を歩いているよう」と話していたことを思い出した。

 2ch利用者の忘年会に参加した時、一人が「ネットに自分の本名を書き込むなんてあ
り得ない」と言った。ネットにはさまざまな危険があり、個人情報をさらすのは自爆行為
だという。

 自分は「匿名」の安全地帯に身を置き、やり玉に挙げる相手は実名だ。息を潜めて眺め
る人もいる。

 こうした風潮は実社会にも影を落としている。学校の緊急連絡ルートが「個人情報」を
理由に作れない。卒業アルバムから顔写真が消えていく。みんなネットを使いながら、顔
の見えない誰かを恐れている。匿名社会の危うさをネットが助長している。

 連載への読者の反響は今も続いている。匿名による情報発信をめぐり、賛否がはっきり
と分かれる。取材班は連載に合わせて専用のブログを開設したが、誰でも見られるその書
き込み欄には2chを擁護し、記事を批判する内容が圧倒的に多い。一方、取材班に直接
送られたメールや手紙は逆に2ch批判が7割を占める。

 メールには「2chをブログに否定的に書くと攻撃される」「2ちゃんねらー(2ch
利用者)から袋だたきに遭うので内容は公開しないでほしい」という意見が目立つ。
ここにも匿名社会のゆがみが見える。

 ネットの誹謗中傷をなくす特効薬は見当たらない。ネット先進国の韓国では匿名による
「アクプル」(悪意の書き込み)が絶えず、自殺も相次いでいる。7月からは実名で登録
しないとネットに情報発信できない「インターネット実名登録制」が始まる。政府による
規制強化だ。それはネット本来の「自由」をなくすことにもつながりかねない。望ましい
未来像だとは思えないが、日本もこのままではいつか検討されるかもしれない。

 ネット社会は、一人一人が「メディア」になる。新聞に過ちがなかったなどと言うつも
りはない。だが、人のことを広く伝えるのには責任を伴う。

 「ネットには自浄作用がある」という意見がある。誤った情報は自然に淘汰(とうた)
されるという考え方だ。2chの管理人、ひろゆき氏もさくらちゃんの募金について「不
正がないか調べて結局、不正がないと分かってよかったではないか」と言った。しかし、
一度つけられた傷は簡単には回復しない。いまだに誤った情報を信じ、同様の書き込みを
続ける人もいる。

 そんな粗野な世界を私たちは望んでいるのか。私たちはネットを使う時、手にした力の
大きさや伝えることの怖さをどれほど自覚しているのだろうか。

 さくらちゃんは米国での手術が成功し、先月30日、5歳の誕生日を迎えた。
救う会は今もHPで近況報告を続けている。検索すると、それと並んで「死ぬ死ぬ詐欺」
のサイトも表示される。

 彼女がいつか目にすることがないようにと願う。

毎日新聞 2007年6月28日 東京朝刊



(コメント)
すみません・・恥ずかしながらこの記事のこと今まで知りませんでした。(汗
昨日、小倉秀夫弁護士のブログで紹介されてたのを見て「あ・・」と
気づきました。

「自分たちが言論の抑圧者になっていることに気付かない匿名さんたち」

これほど状況が説明し易い記事はめったにありません。
岩佐記者が2ちゃんねる軍団から報復を受けていたのは存じてましたが
その状況を御本人様が記事に綴っていたのは知りませんでした。
それとも私が単に忘れていただけだったのかも知れませんが。

・・・ゲリラ君達・・知ってたら私にも教えてよ・・・(苦笑
ネットにずっと張り付いてるわけにもいかないんで・・

>一方、取材班に直接送られたメールや手紙は逆に2ch批判が7割を占める。
でしょうね・・・
恐怖でコントロールされた匿名世論など、もはや本音が話せる環境とは
いえません。
ネットの世界ではハンドルネームが主体です。つまり匿名と同じです。
ですが、そんな匿名環境においても、強い恐怖の前では匿名の利点が
活かされることなどありません。

「反2ちゃんねる活動者としての主張【1】」

もし私が実名でこの反2ちゃんねる活動をしようものなら、この岩佐記者と
同じような報復を受けていることでしょう。

実名で反2ちゃんねる活動ができる者といえば、相当な馬鹿か冒険者
もしくは2ちゃんねる運営関係者くらいなものでしょう。

それにしても小倉先生・・どれだけ素晴らしいエントリを執筆されようと
あの元・2ちゃんねるナンバー2 切込み隊長氏の代理人を担当されている
時点で先生に対する疑念を抱かざる得ないのが正直なところです。
私達も切込み隊長氏の部下(本人?)と思われるwanwan氏から何かと
攻撃を受け続けてましたのでね・・嫌でも警戒せざる得ないわけです。

最初はプロの弁護士として仕事を引き受けているに過ぎないと思い、こういう
ことはここに書かないつもりでいましたが、結局、被害者連合は結果的に
妙なビジネスをしていただけで、邪魔なアンチ2ちゃんねるに大きなダメージを
食らわしていただけで終わりそうな雲行きなので書かせて頂きました。

何故彼の攻撃をず〜と黙認し、我関さずでいたのか。
汚い役柄は全てwanwan氏で、別働隊は善人演出
wanwan氏のブログを通じて情報は漏れまくるは、無関係の反2ちゃんねるを
攻撃しまくるわで、被害者連合は一体何がしたいのか解かりませんでした。
一時は2ちゃんねるの乗っ取り疑惑が浮上しましたが、書籍化が何たらと
やたらカネカネカネの臭いが漂い始めたので「ふ〜ん、そういうことか・・・」
と勝手に妄想を抱いておりました。

「元」なのか「現役」なのかは不明ですが、2ちゃんねるの作戦参謀の
噂が囁かれている御堂岡啓昭氏が小倉先生をお立てになられていますが
その御堂岡氏の発言が本物であることを祈るばかりです。

切込隊長こと山本一郎の奇行

御堂岡氏の心の底は解かりませんが、とにかく全てとは言いませんが
執筆されている内容自体には共感できる発言も数多くあります。
posted by 弱者 at 21:09| ニュース等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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